ある歌舞伎役者が、年老いた母のくつろぎの為に
椅子のデザインを依頼した・・・。
その優しいコンセプトとデザイナーの優しい人柄が表れた、
デザインチェアの傑作です。
1960年にデザインされて以来、今もなお多くの人に愛され続けている名作家具です。
日本人は床の上に直接座る生活習慣があることから、
目の高さが低くなり、それに合わせるようにして腰掛けるので、
もっと低い椅子があってもよいのではないかという思いと、
単純なフォルムでよい椅子は出来ないかという思いから
この椅子が生まれた。
脚は合板を切り抜き構造が単純なもので、
フォルムも単純であるために、全体のバランスが生命線となり、
完成までにいくつもの試作が繰り返されてきた。
畳やカーペットを傷めないように、
脚の接地面積を広くする畳擦りにしてある。
座面が広く、アームもないため自由な姿勢で長時間座れる
日本的な発想から生まれた椅子である。